SUPPORTER INTERVIEW
だれもが、安心して暮らしていくために
- 知的障がいのある方、発達障がいのある方に特化した保険会社を立ち上げたきっかけや理由を教えてください。
榎本社長:人は、生活する中で思わぬ事故やトラブルを起こしてしまうことがありますが、かつて、障がいのある子どもたちは保険に入ることができず、保護者の方は不安を抱えながら暮らしていました。そんな中、障がいのある子どもたちやその家族も安心して暮らすことができるよう、そのお父さんやお母さん方が全国知的障害者共済会を立ち上げました。当時の私は、保険会社の社員としてこの共済会づくりを近くでサポートさせていただき、その仕事にとても魅力を感じていました。
しかし、保険業法(日本の国の法律)の改正に伴い、共済会をやめるか保険会社になるかを選ぶ必要が出てきたのです。前者を選べばまた不安な日々を送る人々が出てきてしまう…。共済会の方々が選んだのはもちろん後者でした。これがまさに運命みたいなものでした。保険会社を立ち上げたい方々と、共済会の一員で保険会社の経験者である私…。私は会社を辞めて、今の会社を立ち上げる決断をしました。
- 企業理念にある「優しい社会」について社長の考えや想いを教えてください。
榎本社長:一言で言えば、「共生社会」ですね。私たちが暮らす日本には、障がいがあろうとなかろうと、お金持ちだろうとなかろうと、色んな人がいて社会が成り立っています。だから、みんなが毎日楽しく、ワクワクできたらいいですよね。誰もが住みやすくて幸せを感じられる、そういう社会だと考えています。
経営者って、社長になると会社の中で一番上の立場になり、怒られることが少なくなってしまう。だからつい、自分が「正しい」と思うことだけをやってしまいがちです。しかし、私は中小企業の経営者が集まって勉強する会に入っていたため、そこで先輩方からたくさんのことをご指導いただき、経営者としてだけでなく、人生そのものを振り返ることができました。そしてたどり着いたのが、今の企業理念になっています。
私が会社を立ち上げたことも、社長になったことも、流れの中での偶然かもしれませんが、今もこうして続けていられるのは、それまでの過程でたくさんの人に助けてもらったり、いろんな人に応援してもらったりしたからなんです。だから人との出逢いを大切にして、その人たちと一緒にどんどんネットワークを広げて、優しい社会を創っていきたいと思っています。
みんな「同じ」 みんな「大切」
- どのような想いで、支援をしようと思いましたか。
榎本社長:保険会社として障がいのある方々の事故の解決をお手伝いしていますが、これが本当の意味での「社会への貢献」にはまだまだなっていないと感じています。自社の事業だけではなくいろんなところで「誰にでも優しい社会」を創るために、何か応援できることはないかと考えていたとき、この活動を知りました。自分たちの想いも叶うのでぜひ応援させてほしいと思い、参加しました。かながわ夢絵コンテストの活動を通して、全ての子どもたちの活躍の場、可能性を広げたいと思いました。
- この活動のほかに、子どもたちを応援している活動はありますか。
榎本社長:障がいのある子どもが増えている時代ですが、子どもたちの将来を明るくしたいと思っています。私は会社の立ち上げ当時から、障がい者雇用をしようと決めていました。今はまだ正規雇用ではありませんが、実習生を受け入れたり、近隣施設の施設外就労に来てもらったりしています。障がいと言っても、知的障がいや自閉症など様々ですから、その人によって「どうやったら伝わるか、理解してもらえるか…」を考えながら、接し方や仕事の教え方も変えなければなりません。でもこれって、誰と接する上でも大切なことですよね。私自身も「人との接し方」を改めて勉強する、良い機会だと思っています。
また、障がいのある方々と関わることをきっかけに、社員たちも変わりました。机を並べて仕事をしたり、お弁当をみんなで一緒に食べたりすることを楽しみにしており、会社の中が明るくなって、一人ひとりが優しくなりました。このような働き方はとても良いことだと私は感じています。
他には、小学校のキャリア教育の外部講師として仕事内容などを話しに行ったり、「放課後等デイサービス」についてのセミナーも行ったりしています。子どもたちにとって、本当に良い教育・環境を整備できるようなことをしていきたいと思っています。
- 最後に、子どもたちを応援する想いを聞かせてください。
榎本社長:子どもたちには、すくすく育って、楽しいことをいっぱいしてほしいと願っています。たくさん冒険もしてほしいですね。でも、そういうとき何か起きてしまうことだってあります。その「何か」があったときは、大人が解決をしてあげればいいんです。だから、遠慮なく元気に遊んで勉強して、いっぱい友達を作ってほしいですね。
企業情報
ぜんち共済株式会社
http://www.z-kyosai.com/
本取材は、株式会社キャリパスとNPOこどもネットミュージアムによるインターンシップ研修において制作いたしました。
(取材:2017年8月)