SUPPORTER INTERVIEW
モノを安全に運び届けるための“縁の下の力持ち”
--- 北川商事では、どのような取り組みをされているのか教えてください。
北川社長:わたしの会社では、船で運ぶ荷物を守る資材を販売しています。例えば、自動車を輸出するときには船の中に拳1個分の幅で車を止めていくのですが、運搬中に動いて車を傷つけないように、車体を船に固定するベルトのようなものを販売しています。他にもたくさんの段ボール箱を載せたときに固定する大きなラップのようなもの(ストレッチフィルム)であったり、荷物固定するテープやロープであったりと、荷物を守る資材といっても様々なものがあるんです。
主な販売先は、船の会社や倉庫の会社です。他にも、船で使う資材の修理もしているんですよ。さびがたくさんついているので、そのさびをきれいにして、また使えるようにしたりしています。また、このような資材は港ごとに必要ですから、横浜だけでなく、千葉や名古屋にも事務所があります。一言で言うと、船に積んだものを守る資材を販売し、修理したりしている会社です。
--- 1890年創業ということで、120年以上も続いているのですね。
創業当時から現在のような船舶で使用する資材を扱っていたのですか。
北川社長:創業当時は、明治時代。船ではなく陸上で使う梱包資材を販売していたんです。生糸の生産が盛んだったころ、輸出する生糸を守るために藁で編んだようなもので梱包していました。それを販売したのが始まりです。戦後以降は、輸出するものが多様化し、それに伴って必要な梱包資材も変化していきました。また、虫がつくという理由で、欧米から藁を使わないように指示があったとも聞いています。今では、梱包に限らず、積んだ荷物を固定するための様々な資材を扱うようになりました。
海外に運ぶものは時代によって変化していきます。けれど固定の仕方が大きく変わったり、ものを守るという原理が革新的に変わったりすることはありません。発砲スチロールやプチプチと呼ばれる緩衝材も昔からあるものですよね。大きな変化はありませんが、お客様とのやりとりの中で、こういったものがほしいという声があれば、新しく開発しています。これだけ長く続いている会社なので、五代目の私の代でつぶすわけにはいきません。これからも続けていくためには、お客様のニーズを的確に捉え、応えていくことが大切だと思っています。
「身の周りにあるものは、当たり前ではない」
今の子どもたちには、自分から興味をもって生み出してほしい
--- こどもネットミュージアムの会員として、今年から活動を支援してくださることになりましたが、どのような思いで支援されるに至ったのですか。
北川社長:これまでも様々な団体を通じて子どもや若い人を支援してきています。「かながわ夢絵コンテスト」を応援しようと思ったことについては、わたしの姉が絵の先生ということもあり、わたしも絵を見ることが好きでして。子どもたちが「みらいの世界」を想像しながら、伸び伸びと描いた作品がたくさん見られるといいなと思っています。NPOの活動は、その活動に共感するたくさんの企業が支援していると思いますが、こどもネットミュージアムの会員の中にはたくさんの知り合いがいます。その会員の人たちの人柄やその人たちの思いに賛同しているので、その人たちと一緒に活動を支えていきたいと思いました。
--- 今の子どもたちに期待するのは、どんなことですか。
北川社長:自分たちが子どものころに比べると、機械にしてもゲームにしても物が溢れていて、自分で生み出すということが少ないように感じています。自分が子どものころは、壊れたラジオを分解して、どのような仕組みになっているのか調べてみたり、木の枝を拾ってきては、大工用品を使って、遊びながら工作してみたりしていました。大工道具などは、危ないからという理由で、最近子どもは触れていないのではないでしょうか。ものがあるのが当たり前ではなく、どうなっているのか仕組みを調べることも大切だと感じます。今の子どもたちにも、パソコンやスマートフォンばかりでなく、自分から興味をもって、気になることを見つけに行ったり、調べに行ったりしてほしいと思いますね。
企業情報
北川商事株式会社
http://www.kitagawacorp.co.jp/
本取材は、株式会社キャリパスとNPOこどもネットミュージアムによるインターンシップ研修において制作いたしました。
(取材:2017年8月)